犬惑星

『ゆるキャラ論』著者・犬山秋彦のブログ

よさこい文化

 愛犬の凛太郎をお台場のドッグランに連れて行った時、たまたまヴィーナスフォートで「夜さ来い」というイベントをやっていてブッたまげた。どうやら元型は高知の「よさこい」と北海道の「ソーラン節」を組み合わせたものらしいのだが、東京風味にアレンジしたのが「夜さ来い」らしい。もともと土佐かどっかでは夜這いの風習だったという説もあるとか、ないとか。
 
どこら辺に驚いたかというのをザッと書き出してみる。

●まず衣装がマンガ・アニメ・ゲームのコスプレを思わせる無国籍なデザインで、しかもド派手。
 
●音楽は昔ながらの「よさこい」のフレーズが一ヵ所でも入っていればOKらしく、ケルト風のものからユーロビートまで無軌道で幅広い。
 
●掛け声で踊り子を指揮するMCという存在がまたおもしろい。普通に演歌や民謡調の唄をみたいなのを生で歌う人もいれば、B-BOY張りに怒濤のラップでしゃべり続けたり、応援団みたくただ叫んでたりと様々。
 
●「よさこい作曲家」というのがいて、これがまた副業的にけっこう稼げるらしい。CDは発売とかされてないけど膨大な量の音楽的蓄積がある(CDがあったら欲しい)。
 
地方車という、イベントでパレードの先頭に立ってスピーカーで音楽を流す車がある。デコトラみたいな感じで、コレに乗って高速道路をカッ飛ばすみたいな動画がYouTubeにあった。この改造車に対する愛着というのはヤンキーや右翼に共通するし、最近ではオタクも痛車なんてものを乗り回している。クルマ好き文化という点で、どうやらヤンキーもオタクも親和性が高いらしい。
 
●踊り自体は基本的に「鳴子」という打楽器みたいなのを使うのだが、別に使ってないところも多い。竹の子族とか一世風靡みたいな感じの振り付けも多く、微妙にパラパラが組み込まれていたりもする。
 
●年齢層が幅広くて、幼児から老人までいて、みんなけっこうハードな踊りをこなす。ヘタならヘタでべつに味になるし巧い人は本当にうまくて、そういう人が一団体にひとりだけポツンといたりする。しかも見た目がオタクっぽかったりして、ダンスダンスレボリューションの上手なゲーマーみたいだった。
 
●バックでは応援団みたいなデカい旗を振るのだが、もう本当に正気の沙汰じゃないほど馬鹿デカい旗を振っている団体があった。2,30人は余裕で雑魚寝できそうなくらい。

 
 今までまったく気づかなかったが、「よさこい文化」というのはオタクとヤンキーの醜悪なところを煮詰めたら程良くオモシロおかしい文化に育ってしまったという感じ。
 
 まず、趣味に費やす金遣いが荒い。消費行動をクリエイティブな何かと勘違いしている。妄想癖があり、プライドが高い。孤高を気取りながらも、実は帰属意識がすごく強い。この辺は異論もあるだろうけど、オタクとヤンキーに共通してる傾向じゃないかと。
だからウチのヨメみたく元ヤンでオタクなんてザラにいるし。オタクはむしろヤンキー高校でこそ輝けるし、自衛隊にもたくさんいた。ヤンキーに対する憧れの反動でオタク趣味に走っているようなタイプは、周囲に思い当たる人も数人いる。
 
 このオタク・ヤンキー文化に対極するのは文化系だと思う。「文化系は金を使わない」と前々から思っていたんだけど、糸井重里も『文化系トークラジオ Life』で断言してた。
 本の知識というのは、確かに新刊で揃えれば金もかかるけど、基本的に図書館などで資料をあさったっていいわけだし、文化系は基本的にインターネットで手に入るような無料の情報が好きだったりもする。
 引きこもりニートが「文化系」を自称するのも、結局自分には「何もない」ということの言明であり、彼らはインターネット上に全ての情報がアップロードされていて、WinnyとかGya0とかYouTubeでいくらでも文化的な蓄積は可能だと考えている節がある。さらに、なぜ文化系の趣味人がモテないかと言えば、単純に異性や人間関係にかかるコストを惜しむからだろう。
 
 よさこい連のグループ名を収拾してみたが、これがかなりヤンキーぽいというか、無駄に漢字を使った氣志團みたいな感じのネーミングが多い。この日本独特の漢字変換文化というのは他にも色々あるけれど、パッと思いつくだけでもSDガンダムとか、スナックの名前、竹の子族、ツッパリあたりだろうか。あとは格闘ゲームやファンタジーゲームの技の名前なんかも漢字の乱用が目立つ。
 
 それと「よさこい」の楽曲名には「大地の響き」「息吹」「魁」「響楽」「華」など、『仮面ライダー響鬼』テイストなものがちらほらと……
仮面ライダー響鬼』はもうちょっとヤンキーテイストが強かったらウケたのかも知れない。
 

■参考動画
http://www.youtube.com/watch?v=EuOvTruCeV4
http://www.youtube.com/watch?v=73WWZEy8fkQ&mode=related&search=
http://www.youtube.com/watch?v=xyG_CCqSaWY
http://www.youtube.com/watch?v=4mwHT7AfNMU&mode=related&search=
http://www.youtube.com/watch?v=4dTjRdUbNwk&mode=related&search=
http://www.youtube.com/watch?v=W0MePF5VLk0

■参考リンク
SD戦国伝シリーズ武者リスト
http://www.geocities.co.jp/Playtown/8352/html_box/co_musya_gun.html

仮面ライダー響鬼
http://www.tv-asahi.co.jp/hibiki/

原宿竹の子族1981〜1983
http://homepage3.nifty.com/ph-ken/sub5.htm

竹の子バリバリBAMBOO MEMORY
http://www.geocities.jp/marubina/

暴走族 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%B4%E8%B5%B0%E6%97%8F

ブログちゃんねる:こういうのみんな描いたよな…
http://blog.livedoor.jp/blog_ch/archives/50570040.html
http://image.blog.livedoor.jp/blog_ch/imgs/8/0/80d8f4f0.jpg

当て字変換ツール
http://skt-products.com/contents/yorosiku.html

■資料1 よさこいのネーミング
 
舞士@踊魂
にゃんこ隊
河童隊
煌星〜かなた〜
風舞人
調布よさこい組藍心(アイコ)
バサラ祭り
華天-GETEN−
高知痛子会(大橋通のイタコ・・痛子姐さん)
粋IKI爽
まず『粋IKI爽』を『いきいきそう』と読まれた方!
違います(笑)これは『いきいきなおき』と読みます♪
ODAWARAえっさホイおどり
“小田原流よさこい”、その名も「ODAWARAえっさホイおどり」
歩笑夢〜ポエム〜
きらら岡崎
六陸〜RIKU〜
よさこいびと@島根
舞灯雄武(まいらいとおうむ)
彩嵐風(いろどりらんぷう)(埼玉)
TO-EN(灯炎)
火の国SORAKOI祭
ゑびしば!
知のはりまや橋にある京町・新京橋という商店街のよさこいチーム、ゑびすしばてん連
〜 祭りの國 能登の賑い 〜
なに輪祭り
夢現乃翔舞』-MUGEN no SHOW BU-
『神石踊り娘隊 きらきら星』<神石>
『油木小学校』<神石>
『豊松中学校』<神石>
天領花乱舞』<府中>
『和乃会』<府中>
『YAMATO くれびと』<呉市
『益田蟠竜おどり隊』<島根>
『紅蝶連』<島根>
『Sup Dup Fly』<廿日市
『桜流王』<熊野町
Team-蘭丸
楽夢(よさこい
REDA舞神楽@mixi
Ω 童 心 Ω
新琴似天舞龍神

よさこい鳴子踊りチーム『半布里』(はぶり)
浜松学生連・鰻陀羅(マンダラ)
大学祭実行委員会OB&OG 「祭人」
紅踊輝 (くれないようき)
ひめじ良さ恋まつり
むろらん鯨翔舞
YOSAKOI Team Eden
鳴子踊りチーム〜翼〜
京都チーム「櫻嵐洛」(さらら)
1999 京都チーム「櫻嵐洛」発足
   (前身:京都学生チーム「夢大路」)
2000 「大輪の花、咲かせよう、京都だってアツいんだ!」
2001 「もののけ
2002 「PLAY/PRAY」
2003 「現代版平家」
2004 「恋し桜」
2005 「夢都」
2006 「鼓動〜Heat ∞ LIVEs〜」
レゲレゲレンジャー
愛知江南短期大学ダンスサークルasuka
大江戸東京音頭
中央区で主にかかる、アップテンポな東京音頭
はなこりあ−よさこいアリラン
もっ’Z
崎大学突風
炎 〜ほむら〜
京極発幸舞連(ほっこまい)
福井県の学生よさこいチーム「福井大学よっしゃこい」
高知の「ほにや」よさこい
よさこい(夜咲恋)
よさこいソーラン風神 
会津大学よさこい『慧』
魔皇(まおう)
風人の祭2005in北海道
早大よさこいチーム「東京花火」
凛華
Yosakoi魂魄(こんぱく)
100人ダンスチーム! 浪花乱風!!
飛鳥
熱風舞人
よいさかどっ恋
あっぱれかぐや
踊って弥雷!
おきゃんら
朝霞翔舞 あさかしょうぶ
朝霞真誠塾 あさかしんせいじゅく
朝霞鳴子一族め組 あさかなるこいちぞくめぐみ
遊人 あっぴ
Anjo”北斗” あんじょうほくと
粋 いっき
いろはさくら組 いろはさくらぐみ
うらら
海老名商工会議所えびな桜舞会 えびなしょうこうかいぎしょ えびなおうぶかい
桜華翔 おうかしょう
「舞瓢」「まいひょう」
ALL☆STAR おーるすたー
カサナリーズ かさなりーず
蔵っこ くらっこ
群青 ぐんじょう
彩霞隊夏舞徒 さいかたいかぶと
相模It’s彩楽祭 さがみいっさいがっさい
相模原祭人THE翼 さがみはらまつりびとざつばさ
桜颯蘭舞 さくらそうらんまい
紫音−sion しおん
子鳩子兎「 横浜百姫隊」 しぐねっと「よこはまびゃっこたい」
襲雷舞踊団 しゅうらいぶようだん
上州高崎”美いどりい夢” じょうしゅうたかさき“びぃどりいむ”
show me presents MEDIA98 しょうみー ぷりぜんつ めでぃあきゅうじゅうはち
沼南よさこいゴチャ連 しょうなんよさこいごちゃれん
新芸組遊駆人 しんげいぐみ あくと
新松戸雅ノ會 しんまつどみやびのかい
酔来亭セピア すいらいていせぴあ
勢や せいや
爽(上州高崎雷舞爽踊隊) そう(じょうしゅうたかさきらいぶそうおどりたい)
Team AZURA ちーむ あずら
調布よさこい組 藍心 ちょうふよさこいぐみ あいこ
調布よさこい組 澄舞流 ちょうふよさこいぐみ すまいる
調布よさこい組 舞夢 ちょうふよさこいぐみ まいむ
DAY CLUB International Team でいくらぶ いんたーなしょなる ちーむ
K-ONE動流夢
CHIよREN北天魁-つるせよさこい-

■資料2 族語
 
夜露死苦(よろしく)
愛死天流人(あいしてるひと)
愛死天流夜(あいしてるよ)
愛羅武勇 (あいらぶゆう)
打衣素希  (だいすき)
我々友情永遠不減
喧嘩上等 暴走天使 天下無敵 全国制覇 
愛死天流 極悪非道
納菓夜死(なかよし)
邇鼓々(にこにこ)

■資料3 スナックや居酒屋など漢字変換された英語
 
離再来  リサイクル
来夢来人 ライムライト
味楽来  ミラク
萌亜   モア
居間人  イマジン
出似色  デニー
亜来舞  アライブ
愛&優  アイ・アンド・ユー
薔薇人  バラード
愛花夢  アイ・カム
綺羅々  キララ
来居夢  ライム
駅造地区 エキゾチック
珍竹林  ちんちくりん
豚珍館  とんちんかん
今人   イマジン
多恋人  タレント
童夢   ドーム
風雷坊  ふうらいぼう
揚羽   アゲハ
色葉   いろは
愚澪人  グレート
ふれ愛
夜来香  イエライシャン
紅桜夢  こうろうむ
花苑   かえん
紫音   シオン
紗羅   さら
李香蘭  りこうらん
楊貴妃  ようきひ
愛郷   アイゴー
いざ酔い 
酔虎伝  すいこでん
喜楽   きらく
味楽   みらく

■資料4 竹の子族
 
留美亜(シルビア)
不恋達(フレンズ)
乱奈阿珠(ランナーズ
幻遊会(げんゆうかい)
一日一善(いちにちいちぜん)
呪浬悦賭(ジュリエット)
魔呪夢亜(マジムア)
英雄(ヒーロー)
麗羅(レイラ)
夢英瑠(ムエル)
異次元(いじげん)
龍虎舞人(りゅうこぶじん)
愛・花・夢(あい・か・む)
レインボー&エレガンス
憂斗妃鳴(ユートピア
エンジェルス
神義嫌(ジンギスカン
愛・愛(あいあい)
竹取物語(たけとりものがたり)
エンドレスサマー
獅利亜巣(シリアス)
流珠(るーじゅ)
唖乃琉斗(あだると)

■ネット上で見つけた資料からの引用
 
近年、高知の「よさこい」、北海道の「YOSAKOI」、そして関東では「夜さ来い」とそれぞれ違った読み方が広まってきました。

高知では民謡「よさこい節」を、北海道では「ソーラン節」をそれぞれアレンジして、鳴子両手に踊っています。

実は関東も隠れた民謡の宝庫で、例えば東京だけでも1200曲あまりの民謡が現代に伝わっています。
よさこいのもともとの語源である、土佐弁の夜さ来い(よるさこい)をヒントに「夜さ来い」と命名されました。

関東では、東京通勤圏である都市を中心に鳴子踊りを取り入れた祭りが益々盛んになっています。
 
よさこいとは何か
 戦後の荒廃した市民生活が落ち着きを見せ始めた昭和29年。不況を吹き飛ばし、市民の健康と繁栄を祈願し、併せて夏枯れの商店街振興を促すために、高知商工会議所が中心となって発足したお祭りです。よさこいとは「今晩おいでなさい」の意味で、「夜さ来い」「夜更来」「宵更来」などと表記します。また、当て字で「夜小恋」とも。
 もともとは高知県の伝統的な民謡、「よさこい節」の事を表す言葉でありました。このよさこい節はメディアがマスになる以前、民衆に愛されたいわばヒット曲であり、歌詞も民衆の生活に密着したものが多く創られました。よさこい踊り(=鳴子踊り)は、鳴子(=なるこ)を持った踊り子たちがよさこい節に合わせ踊ります。

 当初は750人だった高知の踊り子の数は、第30回大会をむかえる頃にはついに10,000人を突破しました。よさこいは絶えず新しいものを取り入れながら、チームの個性化と表現力は進化していきました。昔は正調よさこい節が主流だったようですが、伝統的な楽曲から徐々にロックのバンド演奏などが増え、髪型や衣装も派手さを増しています。振り付けもサンバ調、ロック調、古典の踊りと工夫を凝らしており、見物人を飽きさせない祭りです。
 
よさこいの6大要素
【鳴子】
 よさこい鳴子踊りの作曲者である武政英策氏が阿波踊りと明確な区別をさせるために、米どころ高知らしく“雀おどし”の鳴子をモチーフに制作。今ではチームの特色に合わせた様々な鳴子が使われています。
【踊り子】
 法被、浴衣、Tシャツ、民族衣装などオリジナルの衣装を身に着けた踊り子が両手に鳴子を持って踊ります。1チームの人数は20〜150人程度。子供からお年寄りまで年齢層も幅広い。

【MC】
 曲に合わせてかけ声をだし、踊り子たちに気合いを入れる指揮者的なポジション。MCのノリとキレの良さひとつで踊りの迫力が変わってくる重要な存在です。

地方車
 前進し踊る踊り子を誘導・演出する役割を持つ音響車。2〜4トンクラスのトラックを使用して、大出力のスピーカで曲を流し、カラフルな照明で踊り子を酔わせます。特にそのスピーカの音圧は踊り子はもちろん観客を地鳴りのごとく震わせるほどの迫力です。

【競演場】
 踊り子が踊りながら前進する流し踊り形式では100〜500メートルの距離の道路を踊りながら進みます。その他に進まずにその場で固定して踊るステージ方式もあります。

【楽曲】
 地元の民謡とよさこい節を曲の一節に取り入れる以外は、ロック・ジャズ・古典などジャンルは自由であり、チームごとに個性のある楽曲をほぼ毎年制作し、その楽曲に合わせて踊りの振付けや衣装を製作しています。
http://www.yosakoij.com/yosakoi.html