犬惑星

『ゆるキャラ論』著者・犬山秋彦のブログ

2004-01-01から1年間の記事一覧

『ワラッテイイトモ、』

変えてもいないのによく、「メガネ変えた?」と訊かれる。こういう天気の話レヴェルの日常会話があまり得意ではないので、こういった質問を毎日間断なく速射砲のごとく連発できる人々の感性には憧れるところがある。だから「最近ちょっと太った?」とか「髪…

デカレンジャーにおける夢魔考

学校の清掃用具入れから遺書と共にクラスメイトの死体が発見される夢。飼っていたモルモットを誤って足の裏で踏みつけて殺してしまう夢。白米を食べるたび歯がボロボロと抜け落ちる夢。無数のカエルが上空より落下してきてアスファルトに叩きつけられ濁音を…

ペテン師志願

僕は日常の中にサプライズを求めてしまう。僕が手品に求めるのは魔術的なときめきであり、準備周到な非日常の中で何が起ころうとそこに魔術的なときめきなど感じられるわけがない。 荒木一郎の小説『最後の手品』には、彼自身のかなり辛辣な意見が盛り込まれ…

映画『コンクリート』

それはコンクリート詰め殺人事件のときもそうだったんだけれども、彼女がどういうふうに性的な陵辱を受けて、どういうふうに性的なリンチを受けて、彼女の遺体がどうだったのかというのを、なぜ、ここまでね、報道の名の下に再現しなければいけないのかって…

円山町ブルース

コンビニエンスストアで百円玉を千円札に、千円札を一万円札に「逆両替」し、井の頭線の終電で菓子パンを食い散らかし、円山町の暗がりで立ち小便をする。マスコミに報じられた彼女の行動の一端を知ったとき、私のアタマにまっさきに浮かんだのは、坂口安吾…

マンバ考③ 俄然アキバな、着ぐるみん登場☆

人生における最初の義務は何かのふりをすること。次に大事な義務は、まだ、誰も知らない。 「ベルベット・ゴールドマイン」 トッド・ヘインズ/大森さわこ・訳 ここ数年、ストリート上に展開された一連のギャルファッションは「性的な身体の拒絶」と「身体性…

マンバ考② シブヤの中心でアイを叫ぶ

BEATとはBE−AT、そこにいること、ときめいていることだ! 『ジャック・ケルアック 放浪天使の歌』 スティーヴ・ターナー/室矢憲治 訳 実写版「美少女戦士セーラームーン」は社会不適応な少女の悲しき妄想劇といった趣で、鬼気迫るモノがある。トラ…

マンバ考① 本気モードで☆乙女のロマンス

別冊egg『manba』という雑誌が、かなりヤヴァい。 一見、装飾華美なレイアウトに埋もれて見落としがちだが、彼女たちの言説は読みどころ満載で、サブカル者の妄想癖を加速させて止まないのだ。 みんなマンバの本質を、最後の一点で勘違いしている。…

JR大崎駅・サンリオ本社

JR大崎駅は池袋と並ぶ山手線の終着駅であり、時々下車を強いられる。 大崎よりも先の駅へ向かっていた人間はみな毒づき、殺気立つ。これほど敵意を向けられる山手線の駅も珍しい。 それというのも、「繁華街である池袋ならあきらめもつくが、殺風景で何も…

山手線という名のメビウスの円環で…

プレアイドルというのは、いわばアイドル予備軍のことだ。事務所に所属して地道にライブなどを行い、アイドルになるためのキャリアを積んでいく。ライブにはファン、というよりアイドルの先物買いに取りつかれたマニアたちが群がってくる。(中略)プレアイ…

『かなまら祭り』

五月病もプレデビューしつつあるこの季節。今さらだが、四月の第一日曜日に『かなまら祭り』に行って来た。テレビでの露出は少ないが、ネットでは何かと話題になりやすい類の情報なので、きっと知っている人も多いと思う。早い話がポコチンの形をした神輿を…

出口王仁三郎の「人心掌握術」

出口王仁三郎という人物は後世に残された膨大な量の資料に比べて、世間の彼に対するイメージがいまいち貧困過ぎる。 僕らのイメージする出口王仁三郎、それは無邪気に日本神話のコスプレをしたり、木に登っている写真であり、時に村人を集めては猥談で場を沸…

バモイドオキとゴスロリ少女革命

ゴスロリという文化は世間が思っているほどに底が浅く泡沫的で一過性の、貧弱な文化ではないと僕は思っている。確かに発端は単なるゴシック趣味とロリータ趣味の融合であり、異種間に派生した他愛もないキマイラでしかない。だが、本来ならゴスという思想体…