犬惑星

『ゆるキャラ論』著者・犬山秋彦のブログ

山口敏太郎先生と行く『麻布七不思議・妖怪ツアー』

  

 自分の描いたキャラクターが展示や「読み聞かせライブ」に使ってもらえるというので、ジャムステックの一般公開に行ってきた。
 
 

 こちらは「しんかい6500」をモデルにしたジャムステックのキャラクター「ロッキーくん」。目がデビルマンみたいでカワイイ。(これのデザインは僕じゃないです。念のため)
 
 

 午後からは仕事でお世話になっている山口敏太郎先生と一緒に東京の不思議スポット巡り。
 三田の辺りは「羅生門の鬼退治」で有名な渡辺綱の出生の地として有名だが、実はこれは誤りであるらしい。ただ単に同姓同名の人が住んでいただけなんじゃないかという説も…。
 
 

 元PTA会長だったという御婦人の案内で、某小学校へ。
 いじめ殺された飼い主のために復讐を果たしたという猫が祀られている「猫塚」。今では運動会の前にお祈りするとケガ人が出ないという、学校の守り神になっている。この日は、造花と日本酒がお供えしてあった。
 
 

 同じく校内のブロンズ像。亡くなった先生の遺族が、慰霊のために建てたというもの。もう一体、別の先生の慰霊のために建てられた女の子の像もある。案の定、子供たちの間では「夜中に動きだす」という怪談が噂されているとか。
 
 

 オーストラリア大使館にある、鬼門封じの猿。ここは旧蜂須賀邸洋館で、日吉神社の猿神がモチーフになっているそう。下記サイトでは、写真を撮っていたら注意されたらしいが、この日はお咎めなし。
 
■やっとかめ どっとこむ - 猿のレリーフ
http://yattokame.exblog.jp/4528538/
 
 

 以前に凛太郎を連れて散歩にも来たことがある天祖神社。ここの境内はモダン建築だったりする。ここの石垣に防空壕があったという。
 
 

 天祖神社の裏側には、うっすらと防空壕を埋めた跡が残っている。中までは埋めてないので、この向こう側に空洞が広がっているという。
 
 

 仲間由紀恵と同姓同名かと思いきや、微妙に違う。おそらく確信犯。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0905/08/news021.html
 
 

 麻布七不思議のひとつでもある一本松。
 ちょうど「暗闇坂」「大黒坂」「一本松坂」の交差する辺り。赤ん坊がオギャーオギャーと泣いているので、可愛そうにと抱き上げると急に重くなり、気がつくとお地蔵さんに変わっていたという。狸のいたずらなのではないかという説が有力。この辺りには狸坂や狸穴などの地名も残っている。
 
 

 元麻布ヒルズ氷川神社
 この辺りには関ヶ原の戦いで敗れた西軍の首塚があったと言われている。場所は定かではなく、「氷川神社」「増上寺院居所」「善福寺」で囲われたトライアングル地帯のどこかにあるらしい。
 
■Blog - Deep Azabu: 麻布トライアングル
http://deepazabu.blogspot.com/2008/12/blog-post.html
 
 まるで杭を打ち込んだかのような元麻布ヒルズの形状からして、あれは西軍の怨霊を抑えつけるためのものなのではないかと山口先生が推理する。デザインした人は「空が大きく見えるように」という意図を込めたらしいが、逆に圧迫感を感じる。参加メンバーも、その不安定な形状に、居心地の悪さを感じると言っていた。
 
 ちなみにこの辺りは、銃で自らの頭部を吹き飛ばして自殺した俳優Tの自宅マンションが近くにあったらしく、首を消失していることから西軍の首塚と何らかの関係があるのではないかと噂されている。そのマンションには現在、外国人の方が住んでいて、たまに頭が浮かび上がるという話もあるが、当人は俳優Tを知らず、べつに気にしていないらしい。
 
 

 氷川神社で発見したカッパ狛犬
 遠野にしかないのかと思っていたが、以前、品川神社でも見かけたことがある。
 
 

 夕暮れが迫り、すでに善福寺の門は閉まっていた。背後に見えるのは、元麻布ヒルズ。せっかくの景観が崩れると地元住人たちの反対もあったらしいが、地権者が某お寺の住職だったので、誰も何もいえなくなってしまったという。
 
 元麻布ヒルズの呪術的な意味について、しばらくみんなで語り会った。
 以前、NHKの『沸騰都市』という番組に出演した森ビルの社長が、不況で東京の地価が下がっているうちに買いあさって街並を一変させたいと語っていた。『カンブリア宮殿』に出演した時も、ガード下の居酒屋には昔ながらの風情があると語る村上龍に対し、昔を懐かしむような日本人の価値観は変えなければいけないと叱咤したらしい。
 
 東京という街は、確実に変貌しつつある。そこにオカルト的解釈を加えながら散歩するのも『帝都物語』の主人公にでもなったようで楽しい。おそらく山口敏太郎という作家の魅力は、そこにある。何の変哲もない、おもしろくもない日常の風景が、解説をひとつ加えることで激変してしまう。「妖怪ツアー」というのは一種のごっこ遊びであると同時に、「こっくりさん」や「ひとりかくれんぼ」のような怪しく危険なトリップ体験と似ている。一般市民が肉体を持ったまま、異次元世界に迷い込む快感がある。
 
 今回の模様は『山口敏太郎 B-FILEシリーズ』などで紹介される予定です。
興味のある方は、ぜひ!

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■ブログ妖怪王
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou