犬惑星

『ゆるキャラ論』著者・犬山秋彦のブログ

閉じ籠もり系

小林秀雄は「女は俺の成熟する場所だった」と書いたけど、僕にとっては着ぐるみがそれだった。

コミュニケーション能力に関しては本当に独りじゃどうにもならなかった部分がある。未だにまともに人と電話で会話できないけど、職場の人と「天気の話」くらいはできるようになった。

何度も書いてるように、僕にとって着ぐるみというのは最初、逃避だった。もう人としゃべるのが苦手で、顔を合わせるのもイヤで、でもどうにかしなきゃいけないという焦燥感だけはある。そこで着ぐるみだったら自分は閉じ籠もりながら外の世界と接触できるんじゃないかと短絡的に考えてしまった。実は着ぐるみこそ他人との連携がなければ出来ないんだということに、その時は全く気づかなかった。
だけど着ぐるみは、独りじゃ着ることすら出来ない。背中のファスナーを上げられない。視野も狭く身体能力を極端に奪われるので、独りで街に出るのは危険すぎるし、普通に着ぐるみを着て外出したら普通は犯罪者と間違われる。

結局、そういうバカな行動に付き合ってくれる妻の存在や最初に声をかけてくれたコスガくんやら、色々アドバイスしてくれたwadoreやタマモ王子のおかげで今の自分がいるんだけど、つくづく「閉じ籠もろうとしたら、間違えて開いちゃった」って感じだと思う。マイナスとマイナスを掛け合わせたらプラスに転じてしまったみたいな。