アニメ『さらざんまい』の劇中ダンス、『カワウソイヤァ』は本当に踊れるか?
幾原邦彦監督のアニメ『さらざんまい』にハマって、
およそ入手できる情報はほとんどチェックしてるのではないかと自負しているが、
ファンとして待ち遠しいのは、劇中でレオとマブという二人の警官が踊る
『カワウソイヤァ』の踊ってみた動画である。
この中毒性の高いダンスを、誰がどのようにアレンジして踊ってくれるのか?
非情にワクワクして待っていたのだが、同じ期待を抱いている人たちは多いようだ。
そして、これだけ期待度が高いのに動画がアップされないという謎。
踊ってみた動画をアップされる踊り手の趣味嗜好と、ダンスを期待するアニメファンの嗜好が微妙にズレているからなのか?
はたまた、単純に『カワウソイヤァ』はダンスとして破綻している、または激ムズすぎて誰も手を出せないでいるのか?
5月末にスカイツリーのふもとで開催される某イベントで、大崎一番太郎に『カワウソイヤァ』を踊らせると宣言してしまったので、ちょっと分析してみた。
前半のこのあたり、きちんと振りつけがされていて、
実際に踊れそうな雰囲気が漂っている。
しかし、このあとの振付にも出てくる、腕で四角を作る動作。
どうもダンス用語でタッティングという技法で、けっこう高度なものらしい。
だがダンスとして高度でも、タッティングを披露しているダンス動画はけっこうアップされている。
さらに途中でエレベーターの昇降シーンなど、ズームアウトする場面でも
きちんと振りつけはあるので、YouTubeのショートカット機能でコマ送りすると、
振りつけ自体は充分に解析可能だったりする。
参考までにYouTubeでコマ送り/コマ戻しする方法を記しておくと、
キーボード付きのパソコンで一時停止中に…
「,(コンマ)」ボタンでコマ戻り(画面が戻る)
「.(ピリオド)」ボタンでコマ送り(画面が進む)
さらに再生速度を変えるには、
「Shift」+「,(コンマ)」 再生速度が遅くなる
「Shift」+「.(ピリオド)」 再生速度が速くなる
しかし、一番の問題は、この決めポーズにあるだろう。
動画を見ているとそれほど違和感を感じないが、この決めポーズ、
一番盛り上がるところで静止画が上下からスクロールしたりアップからズームアウトして全体像が見える演出になっているため、実際に踊るとただ止まっているだけになってしまい、イマイチ盛り上がらない。
これを回避するにはなんとなくここまでの間に出てきたダンスで間をつなぎ、
「欲望を手放すな!」のタイミングでポンと、この決めポーズを決めるしかない。
というわけで、PVは映像としての中毒性は高いものの、
実はぜんぜん踊りのレクチャー動画になっていなかったり、
踊りと音楽のシンクロ率がそれほど高くなかったりするのが「踊ってみた動画」のアップされない理由ではないだろうか。
おそらく、誰かがそのあたりの問題をクリアしたお手本となる動画がアップされたら爆発的に「踊ってみた動画」も増えるに違いない。
というわけで、再生回数を稼ぐチャンスだと思うので、誰かお願いします。
(他力本願)
◆『カワウソイヤァ』攻略の裏ワザ
あとはきちんとした振りつけは難しくても、それっぽく見せる方法としては…
暗黒の宝塚と呼ばれ、寺山修司の天井桟敷の流れを汲んだ『月蝕歌劇団』という劇団がある。
スカイツリーでやっているイクニ展に行った方は「暗黒の宝塚」というフレーズにピンとくるかも知れない。
幾原邦彦監督の『少女革命ウテナ』で楽曲提供したJ・A・シーザーの曲を使っていたり、ウテナを舞台化していたりもするので縁の深い劇団でもあるが、そこで踊られる「月蝕ダンス」と称される踊りがある。
決まった振りつけがあるわけではなく、なんとなくカッコ良さげなポーズを音楽に合わせて繰り出し続けるのだが、なんとなく腕の動きが現代でいうタッティングっぽさを漂わせていたりもする。
この月蝕ダンスと「欲望を手放すな!」の決めポーズを組み合わせることで、
なんちゃって『カワウソイヤァ』は成立するのではないかと思ったりもする。