煩悩を打ち消す密教式ライフハック
≫ さあ、始めようぜ
≫ 今まで絶対できなかったことをしよう
≫ できないことができるって最高だ
これは、最近のプレイステーションのCM。
たしかにゲームの中なら、理想の女の子と結ばれたり、異世界を冒険したり、たいていの願望はかなう。
殺人などの背徳的な罪すら疑似体験できる。
さらにVRとTENGAさえあれば、煩悩はほとんど解消される。
技術力を駆使すればもはや、この世に未練はなくなる。
煩悩を打ち消すことを「解脱」と呼ぶなら、痩せ我慢して耐えるより、むしろ満たしてしまうという手法もあるワケで、それがつまり愛染明王が女性を抱いていたり、邪教とされる立川流のような密教的な解脱に違いない。
オウム真理教の「ポア」は、煩悩に苦しむくらいなら、いっそ殺して楽にしてやろうという超理論だったが、もともと仏教がなぜ解脱を志向したのかといえば、あらゆる欲望が社会生活の妨げになるからだ。
ならば、殺すにしろ自殺するにしろ、社会に悪影響を及ぼす行為は本末転倒。
いっそ社会に悪影響を与えないカタチで欲求を満たして、現実世界では安らかに暮らせばいい。
仮想現実の世界で楽しく暮らすため、現実世界で出稼ぎしてるくらいのゆとりがあれば、意外とこの世の由無し事は諦めがつく。
チベット密教の世界では夢の世界こそ現実で、現実こそ夢に過ぎないのだという。
まるで江戸川乱歩の「うつし世は夢、夜の夢こそまこと」みたいだ。
現実の快楽を諦め、稼ぐための労働に勤しむことこそ、現代的な解脱への第一歩かも知れない。
それって、すでに多くのオタクが実践してる方法か……。