過激ゆるキャラ「ちぃたん☆」解任騒動の論点
今回のちぃたん☆騒動。
新聞報道では
「過激すぎるゆるキャラが観光大使を解任された」
というだけのニュアンスだが…
各所の情報をまとめてみると、
運営会社のブラックな体質が浮き彫りになってくる。
そして須崎市は今後の活動に深刻な被害を及ぼしかねないと
判断したのだろう。
◆ちぃたん☆への賛否両論と、その魅力
ちぃたん☆がYouTubeで過激な動画をアップしはじめた頃、
なぜかファンからうちの方にも
「危ないからやめさせてあげて」みたいな声が届いた。
それを須崎市役所の守時さんに相談したら、
ちぃたん☆の運営会社はどんどんエスカレートして
着ぐるみのアタマが取ったり、
危険行為をおこなっている動画をアップしようとしているので
必死に止めてると言っていた。
これは賢明な判断で、
後にちぃたん☆をマネして危険な動画をアップしはじめた
着ぐるみがバラバラになるパチスロ会社のベガサスなどのフォロワーが
あまり増えなかったり顰蹙を買っていることからも、
そういった方向性の動画はあまり評判が良くはない。
ただ過激さを追い求めるだけでは人気キャラになれないのだ。
ちぃたん☆がウケたのも、過激なだけでなく、
須崎市役所によってある程度、
視聴者が受け止めやすいように歯止めをかけていたからだろう。
要は、バランス感覚である。
◆フォロワー水増し疑惑
実はフォロワー数のわりに、
ちぃたん☆グッズはそんなに売れていないのではないか?
という指摘は以前からあった。
【過激ゆるキャラ】「自称」須崎市観光大使の「ちぃたん☆」の運営実態がヤバすぎる! - ありんど高知
ご当地キャライベントで共演すると
物販ブースは意外と閑散としており、
キャラの周りをとりまく人だかりもない。
むしろ世間的にはちぃたん☆よりも「知名度が低い」とされている
しんじょう君や、去年ゆるキャラグランプリを受賞したカパルの方が
よっぽど盛況だったりする。
知名度と人気に乖離があるのはキャラにありがちなことだし、
わざわざご当地キャライベントにまで足を運ぶファンが少ないのだろうと思っていた。
◆ちぃたん☆の焼け畑ビジネス
しかし、実際には
市販のグッズの売り上げも伸び悩んでいるという話を聞いたことがある。
ちぃたんグッズの制作や販売を持ち掛けられた業者は、
ちぃたん☆のフォロワー100万人以上というプレゼンを真に受けて
グッズを大量生産するが思ったほど売れず、
イベントへの動員も思ったほど多くないので、次の開催へと続かない。
キャラグッズは生産量によってロイヤリティが支払われるので、
たくさん作れば作るほどキャラの運営会社は儲かる。
しかし実際に売れなければ、生産した業者は赤字を被ることになる。
まるで焼け畑農業のような、キャラを使い捨てるビジネスが行われていたわけだ。
◆おみやげ市場への乱入
また、最近では須崎みやげとしてちぃたん☆グッズが売られている。
業者はしんじょう君そっくりだし、
しかし観光大使に任命されたのは着ぐるみではなく、
着ぐるみのモデルとなった同名のコツメカワウソの方である。
グッズの販路拡大を狙っているわけだ。
その役割をまったく果たしていないにもかかわらず、
ビジネス的においしい部分だけ奪ってゆこうとしているかのようだ。
◆実態を伴わないちぃたん☆人気
このような実態をかえりみると、
フォロワーを金で買って水増しする行為はTwitterの規約に反するだけでなく、実態を伴わない数値を提示して顧客を騙す「優良誤認」や「不正競争防止法違反」になるのではないだろうか?
まあ、ピカソも人を雇って画廊に派遣し
「ピカソの絵は置いてないのか」と言って回らせたというし、
フォロワー水増しは芸能人や人気YouTuberなどもおこなっているとウワサされるので、
「営業努力」として許される範囲なのかも知れない。
動画がおもしろいと話題となり、
買い上げたフォロワー数と同じくらいのファンを獲得したのも事実だ。
たとえ不正があったとしても、その後評価されれば、その評価は正当なモノなのか?
興味深い問題提起でもある。
しかし表向きの華やかさと裏腹に、その陰で被害をこうむる人がいて、
次第に悪い評判が広まれば、その矛先はしんじょう君や市役所にも向かいかねない。
◆商標権の先取り疑惑
ゆるキャラちぃたんの闇 数々のスキャンダル疑惑で観光大使解任 - YouTube
さらにイーサキングが動画で指摘しているように、
海外での商標登録を精力的に行っているのだとすると、
商標は先願主義なので先に書類を提出した者勝ちになってしまう。
つまり、かつて「阪神優勝」という一般名詞や、
ピコ太郎の「PPAP」という他人の著作権物を勝手に商標登録して、
使用料を手に入れようとしていたベストライセンスのように、
ちぃたん☆が先に権利を主張した場合、
もともとのしんじょう君に使用料が請求されたり、
使用停止の可能性があるのではないかと心配しているのだろう。
【過激ゆるキャラ】「自称」須崎市観光大使の「ちぃたん☆」の運営実態がヤバすぎる! - ありんど高知
かつてウルトラマンがタイ人実業家によって
海外での商標を奪われ、海外進出に苦労したという。
日本国内なら説明をすれば特許庁も理解を示してくれるだろうが、
事情を知らない海外ではどうだろう?
先に書類申請したちぃたん☆の方が権利を手に入れ、
しんじょう君の方がパクリキャラと認定されてしまうかも知れない。
そうなれば、すでに中国でアニメ化もきまっているしんじょう君の活動も
制約されてしまう可能性があるだろう。
まさに「軒を貸して母屋を取られる」状態である。
◆本当の論点は?
それにしても解任劇の翌日に発売された『週刊文春』の記事は意外とふつうだった。
今回の論点、実は『ありんど高知』以外にちぃたんの運営会社についてあまり触れられていないという部分にあるのかも知れない。
キャランドゥという実態の定かでないちぃたん☆の運営会社。
そしてその裏にある商標を持つ株式会社クリーブラッツ。
あらためて社長とされる人物「池田正流」「池田せいじ」の名で検索してみて、
あまり足を踏み入れてはいけない領域なのかも知れないと思ってしまった。
今回のちぃたん☆問題、純烈の友井さんとか
芸能人の諸々のスキャンダルとかぶる部分がある。
優れたアーティストは、
たとえ人格や行動に問題があっても、果たしてどこまで許されるのか?
「天才は何をやっても許されるのか?」という古典的な命題だ。
今回のちぃたん☆の解任騒動、
まだまだ報道だけではうかがい知れない問題点がたくさんありそうだ。
◆追記2019.01.18.
今週号の『週刊文春』、
最後にさらっと書かれていたので読み飛ばしていたけど
「法廷闘争の可能性」という一文が…
つまり今回の騒動はこっちがメインで、
ちぃたん☆解任はキャラを大人同士の争いに巻き込まないための配慮だった
…という見方もできるわけだ。
ひとつ前の段には市側の意見が「突っぱねられた」という一文もある。
しんじょう君を元にしたキャラであるにも関わらず市の意見は反映されず、
商標についても事前に意見交換して足並みをそろえる、
というような配慮もなかったのではないかと推測できる。
各所から取材を受けるたび、
ちぃたん☆を運営するキャランドゥに連絡がつかず実態がつかめない
という話をきくが、
ありんど高知さんの推理が正しければ
仮面女子と同じくクリーブラッツが運営に関わっているはず。
今回、テレビでわざとちぃたん☆の運営会社を「芸能事務所」と言ってみたら、
即行で「キャラクターの版権管理会社」と訂正された。
NHKでもないのだから表向きの「キャランドゥ」くらいは出してもいいと思うのだが、なぜそこまで正体を隠したがるのか疑問だ。
ファンの中にはちぃたん☆が可愛いくて応援してるんだから
須崎市なんて関係ないって人もいるけど、
ちぃたん☆が可愛いのはしんじょう君がかわいいからであって、
池田せいじさんもそこに目をつけたのだろう。
つまり、違法ではないけど観光大使を名乗ることで
そのデザインを合法的に手に入れたわけだ。
しんじょう君とちぃたん☆は イベントでの共演も多く、
ちぃたん☆自身やアテンドのお姉さんたちとの関係が良好なのは間違いない。
要は『ありんど高知』さんの推理どおり
クリーブラッツの池田せいじさんにちぃたん☆の権限があるのであれば、
須崎市がのぞむのはちぃたん☆の解任ではなく、
池田せいじさんとの話あいなのではないだろうか?
◆追記2019.02.02.
ちぃたん☆、去年の8月に商標登録の申請を拒絶されてます。理由は先に出願されたキャラに似てるから。つまり特許庁が、ちぃたん☆はしんじょう君のパクリ…とまでは言わないまでも、に過ぎていてると認めてるわけですね。
これはつまり、ちぃたん☆の方が先に出願してたらしんじょう君は商標登録できなくなっていたということで、ちぃたん☆が海外の商標登録を急いでいたのはこのことに自覚的だったからかも知れません。
◆追記2019.02.06.
◆ 須崎市長定例会見 クリーブラッツへの対応について(PDFに直リンク)
https://www.city.susaki.lg.jp/download/?t=LD&id=3366&fid=11277
今回の会見で明らかになったのは、須崎市から正式にちぃたん☆の「活動停止」を求めたのにアニメ化を発表するなど、なんらかの誠意ある対応をする気配がないという部分でしょうか。
こういった細かい部分はメディアで報じられず、しんじょう君vsちぃたん☆みたいな面白おかしい部分だけが報じられて終わってしまうでしょうから、コラボ企業には伝わりにくいかもしれないですね。
もしファンの方にできることがあったら、クレームではなく問合せによって意見を伝えることでしょうか
現時点では「活動停止」を求めているだけで判決出てないですし、すぐにちぃたん☆が活動停止になることはないのかも知れませんが、そんな状況でアニメ化やコラボ企画が進むのは不思議で、そういった状況をクリーブラッツはコラボ企業に伝えていたのかなというのは疑問ですね。
あとは、ちぃたん☆ファンの方としても、楽しみにしていたアニメが今回の件でどうなるかとか気になるところでしょうし。クリーブラッツさん側やコラボ企業側の意見も気になるところです。